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散る別れこそ/悲しかりけれ

今日は昨日の晴天から一転して、荒れた「春の嵐」となりました。とくに夕方から夜にかけては、九州から東北の広い範囲で強風に警戒が必要だそうです。

花冷えのおかげで長く愉しめた、すっかり親しんだ桜 ”散る別れこそ悲しかりけれ”

ながむとて/花にもいたく/馴れぬれば/散る別れこそ/悲しかりけれ(西行)

の心境です。春の訪れに花を添えてくれた、桜との別れが少し寂しく感じられます。

そんな中、桜の名所として知られる大阪造幣局桜の通り抜けが4月8日(金)~4月14日(木)で開催されます。明治時代から続く春の恒例行事で、長さ560メートルの並木道で八重桜を中心に131種350本の桜を見ることができます。

花見=宴会というイメージを持つわたしなのですが、花見で泥酔するのは無粋というもの。ほろ酔いで桜に酔うのが風流な花見酒。コンビニ弁当を重箱に詰め直すだけでも雰囲気満点の花見弁当に。風呂敷を使うのも素敵な演出です。ビニールシートではなく花ござを敷けば、桜の根本にも優しくて情緒たっぷり。ちょっとした会話にも「桜ことば」を散りばめたら、もう完璧です。

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( 桜ことばの例 )
* 花時:見頃
* 花盛り:満開
* 桜狩り:花見に行く
* 零れ桜:満開になって散る桜
* 桜吹雪:花びらが舞い散るさま
* 桜影:水辺の桜が水面に映る様子

 

さて、潔く散ってゆく桜の花、このような美しい花とともに逝くことができたら、そう願ったのは平安時代末期の歌人、西行法師です。

「  願わくは 花の下にて 春死なむ その如月の 望月のころ  」

西行と言えば、若かりし頃は北面の武士として院を護衛し、出家後は各地を巡って多くの歌を詠みました。その一つは、中3国語の教科書のなか、「万葉・古今・新古今」にも出てきます。西行の歌は、後鳥羽上皇の勅令で藤原定家らが編集した『新古今和歌集』に、最も多い94首入選しています。また、彼の生きざまは江戸時代の俳聖・松尾芭蕉に大きな影響を及ぼしました。

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西行は、詠んだ歌のとおり旧暦の如月(新暦では桜の花が咲くころ)に生涯を終えるわけですが、その生きざまに当時の人々はいたく感動したようです。

恥、責任、潔さ、これらの心的要素に生きざまの美しさを感じるのかもしれません。

 

 

「花は桜木、人は武士」

 

と昔の人は言ったそうです。まだ桜と別れるのは名残惜しいですが、葉桜を見ていて、ふと、そのようなことを思いました。

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