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初秋や 畳みながらの 蚊帳の夜着  松尾芭蕉

あれだけ暑かったのが嘘のような、朝晩涼しく快適な初秋です。食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋。良い時節ももう目の前。つい秋風に誘われて、体を動かしたくなる。そんな秋を待ち焦がれている今日この頃です。

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ちまたでは、夏バテならぬ秋バテが話題になっているようです。

先日、多忙を極めた夏の疲れを癒してもらうために、友人に促されて、整術(鍼灸、マッサージ等)を施してもらいました。びっくりするくらいすっきりとしました。本当に体にたまった悪いガス?を抜いてもらったように体が軽く楽になりました。

そこで今回は、日本の鍼術が世界に誇る「管鍼法」を考案した三重出身の杉山和一(わいち)の足跡をたどってみたいと思います。

 

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「怪我の功名」

伊勢国安濃津(津市)の藩士杉山重政の長男として生まれた杉山和一(1610~1694年)は幼くして失明しました。家督を弟に譲り、自分は鍼術で身を立てるべく江戸に出て、生来のろまで物覚えが悪く、器用さに欠ける和一には、鍼医は向いていなかったそうです。いくら修業を積んでも、どうしても上手に針を刺すことができません。あまりにも不器用なので、和一は師匠の山瀬琢一に破門されてしまいます。

途方に暮れた和一は、思い悩んだ末、江の島の弁財天に断食をして願をかけました。断食祈願の8日目の朝のこと。山から下りる途中、和一は石につまずいて倒れた。その時、体をチクリと刺す物がある。手に取ってみると、竹の筒で、中から松葉が出てきた。その瞬間、1つの考えがひらめいた。「管の中に細い針を入れ、それをツボに当てて、針を刺したらどうだろうか?」この結果生まれたのが、世界に誇る「管鍼法」である。
元来、中国で生まれた針は太く、刺し方によっては強い痛みを伴います。これに対して、和一の考案した管鍼法で刺すと痛くなく、1回に20本、30本と刺すことができる。

この管鍼法は、現代人のデリケートな体にはとりわけ向いている。たくさんの針を体に刺していると、全身がリラックスし、何とも言えない気持ちの良さがあり、思わず眠気に襲われる。この効果は、赤外線サーモグラフィーで確かめるとよく分かる。ツボに針を刺すと、即座に皮膚温度が上昇し、副交感神経が優位になり、毛細血管が拡張するからです。仕事に追われて、体がつらくてたまらないという現代人には、もってこいなのが、和一が考案した鍼術。筋肉痛・肩こり・四十肩・慢性疲労等でお悩みの方、またはリラクゼーションを目的に受けるのもお勧めです。

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