随分と前に買った本
江副氏は「東大が生んだ戦後最大の起業家」
日経BP社・書籍「江副浩正」、人材輩出企業として有名なリクルートの創業者「江副浩正」の生い立ちから死の瞬間まで、順を追って書かれている。東大在学中にリクルートを起業した彼の理念や信条がざっくばらんに語られていて江副氏が大切にしている言葉や松下幸之助などの偉人のエピソードも紹介されていて実に読みやすく「回顧録」的な体裁で書かれているので、いわゆるビジネス書の感がない。
「急ぐ仕事は忙しい人に頼む方がいい」など江副語録が列挙されている。普通に考えれば、「オイオイそんなわけないだろう( ゚Д゚)」と思うが、基本的に忙しい人のもとには業務が集中し、そのため忙しい人はさらに忙しくなり、圧縮付加によりその人の能力はガンガン上がっていく。
スピードが求めれられる仕事は優秀な人材に任せる方がいい=忙しい人に任せる方がいい。
「忙しさ」と「仕事量」には因果関係はなく、単純に当人が仕事に追われているかどうかという当人の意識の問題が大きいと…。
心に余裕が持てるかどうかの方が重要で「貧すれば鈍す」「窮すれば通ず」そのような感じなのだろう。
「 社員皆経営者主義 」
「 社員皆経営者主義 」 を掲げ、創業者が持っていたベンチャーマインドを、リクルートの企業風土にまで根付かせた点であろうと個人的に思った。現実にリクルートOBがどんどん独立してすばらしい仕事をして成功しているのを見ると、実はリクルートでの経験こそが起業家への近道ということかもしれないとも。そういう見方で推察すると、いわゆるプロフィットセンターの運営や大学のサークル的風土、事業撤退時に皆で飲んだり、
退職=卒業ということが、実はリクルート=「起業家のための学校(予備校)」なのでは。。。。ともいえよう。
成功するベンチャー企業には、なぜリクルート出身者が多いのか?ずっと不思議だったのだが、あらためて読み終えて疑問が晴れたように思う。
「社員全員が経営者」であるべき、そんな理念を掲げ、システムを構築したからこそ、そこにふさわしい人材が集まってくるのだ。そして、優秀な社員が次の活躍の場を求めて転職・独立する、しかしそれ以上に優秀な人材がそぞろ集まってくる・・・人材の流動性が激しくても「軸がぶれない」リクルートの経営の根本が読みとれた。
会社の中に小さな会社をつくる”プロフィットセンター(PC)制を導入した。30歳前後の社長(課長)を中心に社内で小さな会社が互いに切磋琢磨し、競争を続ける。
経営者としてあるべき姿、ビジネスに対する姿勢、イノベーションを起こし続ける組織設計 。時代はどんどん変わる。変えてしまう人がいるから変わる。変わることを好まない人も、それがユーザーにとって便利であれば、しくみもモノも変わっていく。リクルート社、新しいビジネスモデルを生み出して急成長したので面白くないと感じた財界人もきっと多かったことだろう。
リーダーは様々な決断を強いられるが、その多くが周囲には理解されないことも多い。 経営者、つまりリーダーは孤独
ホリエモンや楽天の三木谷浩史、今を時めくギラギラした「IT起業家」たち。 戦後最大の起業家と呼ばれた江副氏 にそんなイメージはあてはまらない。
江副氏の転落のきっかけとなった リクルート事件は、今となってはその違法性にも疑問が残るといわれる。検察による国策捜査の犠牲になっていなければ・・・才能をつぶしたツケは実に大きいのではないか。
エモーションの「感情」と、計算の「勘定」 2つのカンジョウを高レベルで併せ持った江副氏は、足下がおぼつかない日本経済をどのような気持ちで見つめているであろう。
最後に、 リクルートの新入社員研修で配られた 35年以上前の資料 から
今日すべきことは明日に延ばすな。明日に延ばすことは人に迷惑を掛けるか、機会を逸するかのどちらかである。総ての仕事をその日のうちに片づけ、毎日空身となって眠れ。明日になって何をするのかを考えるのではなく、良い明日とする為に今日何をどこまでやるかが大切なのである。
企業は人生の学校である。あらゆる場面で向上心を失わないでいること。君自身の成長はいかなる場面でも君自身の姿勢と努力の結果である。